明石の弁護士の辻田です
本日は,民訴法における訴訟記録の閲覧等や秘密保護についてお話したいと思います。
1 原則
訴訟記録の閲覧請求は誰でも可能です(民訴法91条1項)
その趣旨は,公開原則(憲法82条1項)の尊重にあり,公開原則から直接導かれるものではありません。
趣旨が,公開原則の尊重にあるため,公開禁止の場合には(憲法82条2項本文参照),当事者及び利害関係を疎明した第三者に限り閲覧が可能とされており(民訴法91条2項),これらの以外の者による閲覧請求は認められていません。もっとも,口頭弁論の公開が禁止されるのは極めてまれです。
なお,当事者及び利害関係を疎明した第三者は,閲覧のみならず,謄写請求等も可能とされています(民訴法91条3項)
2 例外
私生活についての重大な秘密であって,閲覧されることにより,私生活に著しい支障が生じる場合や,営業秘密(不正競争防止法2条6項に規定する営業秘密)について,,裁判所は,当事者の申立てにより,決定で,その秘密が記載された部分の閲覧等を当事者に限定することができます(民訴法92条1項 閲覧等の制限)。
なお,特許侵害訴訟において,秘密保持命令(特許法105条の4)が発せられたとき,当該秘密保持命令の名宛人以外の当事者(閲覧制限の申立人を除く)による訴訟記録の閲覧請求があった場合には,裁判所書記官は,閲覧制限の申立人に対して,直ちに閲覧請求があった旨を通知しなければならず(同法105条の6第1項),閲覧請求があった日から2週間が経過(2週間以内に,閲覧制限の申立人が,秘密保持命令の申立てをした場合には,その判断がなされるまでの間)するまでは,訴訟記録の秘密記載部分の閲覧等をさせてはならないとされており(同法同条2項),営業秘密の保護が強化されています。
3 閲覧制限の限界とその対処法
民訴法上は,92条1項の「秘密」に該当しない秘密については,当事者以外の第三者による訴訟記録の閲覧を制限できません。したがって,公開禁止の場合を除いて,誰でも訴訟記録の閲覧が可能となります。
このように,現行法の枠組みの中では,92条1項の「秘密」に該当しない秘密の,第三者による漏えいについて,法律上の手段を講じるのは困難です。
記録の閲覧による秘密漏えいを防止するには,文書に記載する秘密を極力抑えたり,抽象的な記載にとどめるなどの工夫によって対処するしかありません。
なお,このような工夫をする際には,漏えいの防止のみならず,要証事実を証明できるだけの証明力を維持できるのか,説得力のある具体的な主張となっているか,という点にも留意する必要があります。
このような事実上の方法によって,秘密の漏えいをどの程度防止できるのか,その効果について疑問がないわけではありませんが,事案によっては,工夫次第で秘密漏えいを効果的に防止することが可能であると思われます。ただ,事実上の方法による場合には,秘密漏えいの防止と証明力の維持・説得力のある主張という二律背反的な要請の下,厳しい訴訟追行を強いられることになると思われます。。
本日は,民訴法における訴訟記録の閲覧等や秘密保護についてお話したいと思います。
1 原則
訴訟記録の閲覧請求は誰でも可能です(民訴法91条1項)
その趣旨は,公開原則(憲法82条1項)の尊重にあり,公開原則から直接導かれるものではありません。
趣旨が,公開原則の尊重にあるため,公開禁止の場合には(憲法82条2項本文参照),当事者及び利害関係を疎明した第三者に限り閲覧が可能とされており(民訴法91条2項),これらの以外の者による閲覧請求は認められていません。もっとも,口頭弁論の公開が禁止されるのは極めてまれです。
なお,当事者及び利害関係を疎明した第三者は,閲覧のみならず,謄写請求等も可能とされています(民訴法91条3項)
2 例外
私生活についての重大な秘密であって,閲覧されることにより,私生活に著しい支障が生じる場合や,営業秘密(不正競争防止法2条6項に規定する営業秘密)について,,裁判所は,当事者の申立てにより,決定で,その秘密が記載された部分の閲覧等を当事者に限定することができます(民訴法92条1項 閲覧等の制限)。
なお,特許侵害訴訟において,秘密保持命令(特許法105条の4)が発せられたとき,当該秘密保持命令の名宛人以外の当事者(閲覧制限の申立人を除く)による訴訟記録の閲覧請求があった場合には,裁判所書記官は,閲覧制限の申立人に対して,直ちに閲覧請求があった旨を通知しなければならず(同法105条の6第1項),閲覧請求があった日から2週間が経過(2週間以内に,閲覧制限の申立人が,秘密保持命令の申立てをした場合には,その判断がなされるまでの間)するまでは,訴訟記録の秘密記載部分の閲覧等をさせてはならないとされており(同法同条2項),営業秘密の保護が強化されています。
3 閲覧制限の限界とその対処法
民訴法上は,92条1項の「秘密」に該当しない秘密については,当事者以外の第三者による訴訟記録の閲覧を制限できません。したがって,公開禁止の場合を除いて,誰でも訴訟記録の閲覧が可能となります。
このように,現行法の枠組みの中では,92条1項の「秘密」に該当しない秘密の,第三者による漏えいについて,法律上の手段を講じるのは困難です。
記録の閲覧による秘密漏えいを防止するには,文書に記載する秘密を極力抑えたり,抽象的な記載にとどめるなどの工夫によって対処するしかありません。
なお,このような工夫をする際には,漏えいの防止のみならず,要証事実を証明できるだけの証明力を維持できるのか,説得力のある具体的な主張となっているか,という点にも留意する必要があります。
このような事実上の方法によって,秘密の漏えいをどの程度防止できるのか,その効果について疑問がないわけではありませんが,事案によっては,工夫次第で秘密漏えいを効果的に防止することが可能であると思われます。ただ,事実上の方法による場合には,秘密漏えいの防止と証明力の維持・説得力のある主張という二律背反的な要請の下,厳しい訴訟追行を強いられることになると思われます。。
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